二拠点居住をやってみて。日々をより良くするためにもう1つの居場所を持つ大切さ

6月に入った。
企業の就職活動が本格的にスタートし、リクルートスーツの学生を見る機会が増えた。

つい2年前までは自分も同じような大学生だったが、いつのまにか「新卒」とは呼ばれなくっていた。もう社会人2年目だ。

2年目になると余裕ができると聞いたけれど、相変わらず僕には余裕がない。 大学生の時は暇を持て余したけれど、今となっては心のゆとりを持つ感覚を若干忘れつつある。

そんないつもの慌ただしい1日の始まり、通勤電車の中で、偶然見つけたのがこの記事だった。



働き方改革が叫ばれる中で、注目されつつある「二拠点居住」や「リモートワーク」を実体験してみたり、実際に東京と長野県の二拠点を行き来しながら生活を送る実践者とのトークセッションに参加できる1泊2日のメディア発ツアーだった。

「面白そう!」そう思って応募したらなんと当選してしまった。しかもツアーは金曜日から土曜日にかけて行われる日程。

最終的には好奇心が勝り、会社からお休みをいただいて参加することを決めた。


どんなツアーだった?

「新しい働き方を体感できる」ということくらいの事前情報で臨んだツアーだったが、ハフポスト記者の笹川さん、浜田さんお二人が引率してくださったツアーは、ただの見学ツアーを超えて、自分の日々の過ごし方を大きく変えてくれた。

(参加者みんなで撮った一枚)


ツアーに参加した8名の参加者は、全員僕のようにハフポストの読者で、

二拠点居住という新しい働き方に挑戦しようとしているフリーランスの方や、外資系企業で働きながら、全国の地方でリモートワークを実験している方、そして僕のように日常からちょっと外れて今後のことを考えてみたいという人まで様々だった。

(宿泊所のコテージ前で)

そんな初めましての面々で、
山に囲まれた森のオフィスで実際に持ち寄った仕事をリモートワーク体験してみたり、

二拠点居住を実践する新しい働き方のパイオニアの方から二拠点居住のリアルを聞いた。


そして夜には、Googleマップにも映らない深い森の中にあるコテージに宿泊し、深夜から参加者みんなで焚き火を囲んでお酒を飲みながらゆるく語り合ったりもした。
(焚き火体験は本当に癒されて今回のツアーで1番ハマりました)


新しい働き方や生き方に触れ、富士見町の自然も十二分に体感することができた。




二拠点居住は「もう一人の自分」を持つこと

僕がツアー全体を通じて、印象に残っているのは、ツアー初日のトークセッション。

そこで森のオフィス代表の津田さんがおっしゃっていた、「場所が変わるとアイデンティティも変わる」という言葉だった。


津田さん自身、森のオフィスを立ち上げるまでしばらくは東京の会社員生活と長野での生活を行き来していたけれど、長野にいるときの自分が好きで、最終的には生活の拠点を長野に移し、東京にたまに行くというライフスタイルに変えたという。


僕自身も、プチ二拠点居住をしてみて、

富士見町にいる自分は 慣れ親しんだ東京よりも、むしろ心が落ち着いていて、自然体で素の自分として振る舞えたと感じていた。

東京にいるときの、余裕のない自分は長野にはいなかった。

なんていうか、東京とは別の自分だったのだ。  



東京にいるときの自分はというと、
「何かタスクが抜け漏れてるんじゃないか」と心配したり、
ご飯を食べながら来週の予定について考えるような、心ここにあらずの文字通り忙しい自分だ。

その代わりに長野にいたのは、
「いまここ」をちゃんと感じて、ご飯を美味しく味わったり、目の前の焚き火の暖かさをきちんと感じる、心がちゃんとある、余裕のある自分だった。

そんな風に、
まさに東京と長野を行き来して、アイデンティティが変わる体験をして思うことは、

二拠点居住のメリットって、
「もう一つの自分」を持つことなんじゃないか、ということだった。

時間の流れが早い東京だけにいて、家と会社を往復するような生活をし続けていると、どうしても同じ視点でしか物を考えられなくなるし、目の前のことで頭が一杯になりがちだったりする。

そうすると、会社でうまくいかないことがあった時、

一気にプライベートも行き詰まったりしてしまうけれど、

例えば長野にももう1人の自分を持てていたら、もう少し冷静に東京での自分の立ち位置を考えることができる。

仕事上の失敗も、キャリアの心配事も、長野の自然の中に身を置いていたら、大した問題に感じなくなるかもしれないし、改善のためのアイデアがふっと湧いてくるかもしれない。


(東京では決して見る事がない風景。長野の清々しい自然をぼっーっと眺めるだけでストレスが吹っ飛びました)


「ここしかない!」という追い込み、プレッシャーは、火事場の馬鹿力を生む反面、やっぱり疲れるし辛い。たまには、「ここ以外にもここがあるや」と思える「逃げ場」を持つことで、解決できる課題もあるんじゃないかと思った。


二拠点居住は恵まれた人だからこそできること?

もちろん、だからといって二拠点居住が誰でもできるかというとそんなことはないと思う。
実際、森のオフィスで二拠点居住を実践する人も、
「今の時点で二拠点居住を実現できるのは恵まれている人であるとも言える」とお話されていた。

デザイナーやSEなど、パソコンひとつあれば場所を選ばずに仕事ができる人がやはりリモートワークなどあたらしい働き方は実現しやすいのだろう。

巷にも、
「時間と場所にとらわれない自由な生き方をしよう」というような、ストレスのなさそうな新しい生き方を進める本は増える一方で、
それを実現できるのはごく一部の人たちだ。

結局、「いつかこんな風に自由に生きたいなあ」と思っても、夢を見て終わってしまうことだってあるだろう。

しかし一方で、森のオフィス代表の津田さん、副代表の高柳さんはこうもいっていた。

「二拠点居住を実現できた人に共通するのは、①自分にはできないと勝手に諦めなかった人、②やりたいと常々口に出していた人、③なぜ二拠点をしたいのか整理でき、かつそのために行動できた人、です」

「二拠点居住」という主語を、「やりたいこと」に置き換えても十分意味が通じる。
つまりは、そういうことなのかもしれない。


できることから。もう一人の自分と出会える自分なりの「第二拠点」を見つける

ここまで偉そうなことをつらつらと書いてしまったが、僕はまだ社会人2年目だ。

拠点を複数持って、東京と長野を行き来するような生活をする以前に、第1の拠点ですら、まだまだぐらぐら、不安定だったりする。


はやる気持ちを抑え、足元を一つずつ固めて、理想を実現するための土台を今は作っていきたい、なんて抱負を今は持っている。

一方で、かといって二拠点居住的なことは、今は全くできないのかというとそんなことはないとも思った。ちょっとの意思と、行動さえ伴えば意外と簡単にできそうだ。

ちょっと気分を変えて、いつもと違う休日を過ごしたいと思えば、スマホで往復6千円のチケットを買えば、今すぐにでも森のオフィスに行くことができる。
一回の飲み代を我慢すれば、お財布的にも問題ない。

一度プチ二拠点をさせていただけたおかげで、ハードルがだいぶ下がった。

それに長野ほど遠くにいかなくたって、「もう一人の自分」と出会える場所は身近にも結構たくさんあると思う。

Facebookで流れてくるイベントに参加して、会社やプライベートでは合わない人と出会ってみたり、
普段あまりいかないけれど気になっていたカフェに行って、今後のスケジュールを立ててみたり、ちょっとでもいつもと違う自分に出会える場所を意識的に見つける。

森のオフィスのツアー後にこのイベントにも参加したけれど、
同じくハフポストがやっていたブルーボトルのイベント「僕たちが、500人にコーヒーを“ごちそう”してみたい理由」なども、会社でも家でもないあたらしい時間を過ごして、いつもと違うもう一人の自分に出会える場所だったと思う。

「場所が変わるとアイデンティティも変わる」

だからこそ、いつもと同じ場所、いつもと同じ自分で、同じ日々を繰り返していないか。

適度にいつもと違う場所に身を置いて、
いつもと違う自分になる。
そんなことが大切だと学べた2日間でした。

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